2016年4月29日金曜日

歓びを歌にのせて





















「歓びを歌にのせて」というスウェーデン映画を紹介します。


あらすじはこんな感じです。

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病気でキャリアを中断せざるを得なかった世界的指揮者である主人公(ダニエル)は、失意の中故郷へ戻った。そこで出会ったのはアマチュア聖歌隊の面々。彼らのとの交流の中で、ダニエルは、何物にも替え難いものを得て、本当の人生を歩み始める...
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ありがちですよね?私、この手のストーリーに目がないのです。事前にある程度のストーリーは知っていたので、ちょいと心温めさせてもらおうという気持ちで鑑賞を始めました。

しかし、実際の内容は「ちょいと心温めさせて」もらうような軽いものではありませんでした。主人公を含めて、登場人物は誰もが深い葛藤を抱えており、劇中ではこれでもかというくらい、その葛藤をぶつけ合うのです。

ぐったりと疲れる映画でした。言いたいことを抑えて、それなりに日々の暮らしを送ってきた人たちを、主人公が振り回しただけじゃないか、というツッコミもありかな、と思います。一方で、一歩踏み出した彼ら/彼女らが見せてくれる、後悔のない澄み切った笑顔が忘れられません。

この映画はスウェーデン人の五人に一人が観て、劇中歌である「ガブリエラの歌」も大ヒットしたんだそうです。歌詞の一部を紹介します。

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生きている歓びを心から感じたい
私に残されたこれからの日々に
自分の思うままに生きていこう
生きている歓びを心から感じたい
私はそれに価すると誇れる人間だから

チャンスに恵まれない人生だったけど
生きたいという意思が私を支えてくれた

探し求めていたまぼろしの天国
それは近くにある どこか近くに
私はこう感じたい
「私は私の人生を生きた!」と
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ものすごい名曲です....聞くたびに心揺さぶられます....
生きているうちに、少しでも多く、こういった作品に出会いたいものです。

注:暴力的なシーンが含まれる映画です。そういったものが苦手な方にはお勧めしません。













2016年4月19日火曜日

心療内科・精神科医療はクスリありき?

『クスリをなるべく飲みたくないのですが』
「クスリと心療内科・精神科医療はセットです。」

『クスリがあまり効いていなようです。他の治療法はありますか?』
「では、これ以上ウチでは治療できませんね。」

当院に転院して来られた方の中に、上記のようなやりとりをした経験を持つ方が多いことに驚いています。

疾患によっては(統合失調症、双極性障害など)、たしかに薬は治療の主軸として欠かせないものです。しかし、疾患によっては(不安障害が代表的です)、必ずしも服薬が前提となるわけではないのです。

私は心理療法の一つである認知行動療法を専門としていますが、心理療法を志す原動力となったもののひとつが、薬物療法一辺倒に偏っていた(ように私には感じられました)我が国の精神医療に対する疑問でした。

しかし、一方で皮肉なことに、心理療法の側から薬物療法を眺めてみて気づいたことがあります。それは、薬物療法がもたらす安定した治療効果です。徒らに薬物療法を忌避することは、治療の選択肢をわざわざ狭める結果をもたらしかねません。

当たり前の結論なのですが、結局はバランスです。どんな時に薬を使う必要があるのか/ないのか。薬を始める/終える時期はいつなのか。目の前の患者さんのニーズに応えることのできる薬は何なのか。薬物療法以外の選択肢はあるのか。薬物療法と心理療法の併用についてはどうか。これらについてきちんと治療者が把握し、わかりやすく説明することが重要と考えています。

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一度始めたらやめられないのではないか?強い薬を出されてしまうのではないか?どんな副作用があるのか?人格が変わってしまうのではないか?心療内科・精神科で出される薬についての批判的な記事を読んだんだけど...。信頼できる人が薬を飲むのはやめろと言っているのだが...。
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ご不安な点はたくさんあるでしょう。何でも聞いていただければと思います。







2016年4月6日水曜日

うつ病での休職中に生じるさまざまな困りごとについて

うつ病が悪化し、働き続けることが困難になった場合、休養と治療のため、仕事をお休みすることになる場合があります。

・休職中は何をすれば良いのだろう?
・平日の昼間に外出すると罪悪感が出てくる。同僚や上司は働いているのに...。
・何かしろと言われても...。やる気が出てこないので、自宅でじっとしている。
・休職中の会社との連絡はどうすれば良いのだろうか?
・夜になると、今後のことを考えて不安になったり焦ったりしてしまう。
・図書館に通えと会社から言われたけど...
・家族はどのように対応したら良いのだろうか?
・少しくらいなら家事をしてもらっても良いのだろうか?

休職中の方や、その家族からよく聞かれることばです。せっかく休んでいても、なかなか気が休まらない方も多いようです。当クリニックでは、上記に挙げたような「休職中の困りごと」について丁寧にトラブルシューティングし、「回復を妨げる悪循環」から脱出できるようなお手伝いをしていきます。

念願の復職が叶い、少しずつ自信を取り戻していかれる方々の姿を、一人でも多く見届けることができるよう、当クリニックとしても努力を重ねていきたいと考えています。